なぜミニコンのラストは「정거장」でなくてはいけなかったのか
photo by yuchun
単線の無人駅。
土手の向こうに沈んでいく夕日
雲ひとつない空。
地面に近い方からオレンジから薄いピンク、ブルーのグラデーションになっていく空
澄んで乾いた空気。
土手に生えた草花が風に吹かれて静かに揺れる。
草木のかすれるかすかな音。
駅で行き交う人々の雑踏
希望の発車ベル
すごい速さでどんどん後ろに流れていく景色。
街の光。
もう、今までいた場所にいない「自分」
ユチョンが歌う「정거장」を聞いて浮かんできた情景。
「정거장」停車場。
駅。
は最後にアルバムに加わることになった曲。
そして、ミニコンサートではタイ、日本どちらのコンサートでも最後に歌唱された。
その意味を考えてしまう。
ユチョン自身がアルバムの中で最も好きだと言った曲。
苦しい吐露が続く自作曲が入ったアルバムに最後に入った自作曲。
曲紹介はこうなっている。
「2.駅(Prod。HELLGATE)
シューゲイザーとモダンロックの適切に調和を成した曲で、パク・ユチョンの新しい姿が引き立つ自作曲である。バンドサウンドを追加のために楽器の特性の一つ一つ気を使いながら曲を設計し、曲の中盤に入ると夢幻的なパッド音と一緒に広がるリバースされたパク・ユチョンの声は過去と現在をつなぐ架け橋の役割をしてくれるような感じをてくれる。同時に演奏されるギターの旋律は、まるで新しい場所に向かって去る列車のホーンの音のようだ。」
この曲の説明をファンミでもしてくれたけど、
過去と未来をつなぐ「今」としての停車場、駅。
過去から来て未来へ行く通過点。
「안녕」と過去に別れを告げて、すべてそこに置き去って、身軽になって光の中へ走り去るような。
サビ前に人の声、雑踏のサンプルが挿入されるので
本当に駅にいるように思えてくるし、曲紹介にもあったようにギターの音色が電車の走り去る音のように走っていく。
「シューゲイザー」というジャンルは知らなかったのだけど、この独特なギターの音色が私には星を想像させる。だからキラキラ輝く音の粒が、流れていく街の光みたいに思える。
穏やかに、しみじみと始まる導入部分とは明らかに違う場所にいるサビ部分。
そして、未来へと、光の中へ走り出すのがわかる、力強くどこまでも伸びる声。
「過去」は思い出だ。
いろんな思いが詰まった大切な思い出。
その中にはまばゆくてこの世の幸せが全て詰まったような暖かな瞬間から
真っ暗で前がどちらかすらわからない悔しくてやるせない時間まで全部入っている。
どれも濃すぎて安易に捨て難い時間だけれど、
それでも
ユチョンは「모두 안녕」という。
「全てさよなら」
その全て、消えるわけでも消せるわけでもないけど
それでも「모두 안녕」という。
過去は過去であって、「今」でも「未来」でもない。
だから「모두 안녕」
そして、もう、走り出している。
未来へ向かって。
これからの時間に、「또다시 안녕」
だからもう、私たちも乗り遅れないように
今まで持っていたもの全部に「 안녕」って言いたい。
そして新しいこれからの時間に「 안녕」って言いたい。
いくら過去が幸せでも
いくら過去が悔しくても
過去でしかない。
そう。過去でしかないんだよ。
これがアルバムの最後に作られて
ミニコンの最後で歌われた意味。
もう、多分
ユチョンはそこにいない。
走り出している。
0コメント